世界で最も美しい名前【影河凌駕誕生日2021】
はじめに
影河凌駕さん、お誕生日おめでとうございます。
年が近いこともあってメンバーの中では一番親近感のある人です。凌駕さんのご健康とこれから益々のご活躍をお祈りしております。
前述のコミカライズ9月号感想でまとまりきらなかった部分を誕生祝の記事としてまとめてみました。個人的な考察……まではいかない、自分なりの解釈も含まれます。
【注意】ここでは「華Doll* 1st season~Flowering~」のネタバレに加え、「フォレスト・ガンプ」「ラブ・ストーリー ある愛の詩」についてのネタバレも含みます。以上の作品をネタバレなしで楽しみたい方はぜひ先にご覧になってください。どれも良い作品なので、もし機会があれば観ていただけると幸いです。
世界で最も美しい名前
今回の記事は影河凌駕について言及する予定だが、凌駕について述べるには天霧智紘と結城眞紘の存在は欠かせないものになるため、両者への言及も多く含まれることを先に断っておく。
凌駕と眞紘のコンビは、主となる考察の種とモチーフが映画となっている。眞紘が――ひいては智紘が映画好きということも関係しているだろう。これまでに明確になっているのは、
この4作品だろうか。(他にもありそうなら教えていただけると助かります。)
今回は特に、フォレスト・ガンプとラブ・ストーリーについて書いていきたい。
具体的に言及していく前に、フォレスト・ガンプとラブ・ストーリーがなぜ凌駕に一致するのかについてを記載しておこう。
はじめにフォレスト・ガンプから。フォレスト・ガンプの例示を最初に上げたのは眞紘である。
前に話した映画見ました‼️いつもの歴史映画じゃないけど、ある男性の人生を描いたヒューマンドラマ😌バス停のベンチで主人公が語り始めるんです🚌主人公の母親が口癖のように言っていた、チョコレートの箱を人生に例えた言葉がすごく印象的だったな🤔 #Anthos #眞紘 #MAHIRO #華Doll #華ドル #hanadoll
— Anthos*_Official Twt (@Anthos_twt) 2019年5月14日
その言葉は以下だ。
Life was like a box of chocolates.You never know what you're gonna get.
「人生はチョコレートの箱のようなもの。 開けてみるまでは何が入っているかわからない」これは華Doll*の作品全体のテーマにも関わっている可能性もある。
So I could fly far. Far far away from here.
この言葉は凌駕ソロ間奏部分のセリフに通じる。加えて「with me」により、共に歩む覚悟を強調していると言えるだろう。父親から性的虐待を受けていたジェニーは、父親からネグレクト……に近い扱いを受けていたと推測される眞紘の境遇と重なる。ここにおけるフォレストは凌駕で、ジェニーは眞紘だ。
Run, Forrest! Run!
フォレストの足かせが外れるところは智紘か眞紘かの断定は難しいが、最初にオッドアイを褒めてくれたという点で言えば智紘のほうがより沿うているかもしれない。
バッバの夢を引き継ぎエビ漁をはじめたフォレストは、智紘の夢を引き継いで眞紘と同じステージに立つと誓った凌駕に重ねてもいいだろうか。
次に「ラブ・ストーリー ある愛の詩」について。これは、メンバーからの具体的言及があったことはない。根拠として上げたいのはChange Your WorldのCメロ、凌駕・眞紘のラップパートだ。
Love means never having to say you're sorry.
(映画ではLove means not ever having to say you're sorry.)
凌駕パートで歌われるこの歌詞は、映画のキャッチコピーにもなっている。よく「愛とは後悔しないこと」と訳されているのが有名だろう。*1
映画内で、このセリフは2度出てくる。はじめは主人公オリバーがヒロインのジェニーと親子関係の修復について喧嘩したあと、ジェニーに対して謝った際ジェニーが発するとき。次にジェニーが白血病で死亡したあと、葬式の席で父親と再会しオリバーに対して父親が謝罪した際オリバーが発するときだ。どちらも印象的なシーンとなっているため、このセリフには強い意味がある。
主人公オリバーについて誰に当てはまるかは全員の情報が判然としないので断言はできない*2。
ただ、ここで私が言いたいのは、どちらにも共通するのはヒロインが「ジェニー」という名前であることだ。主人公の人生の中で全てにも等しいほどの愛を注いだ人間に対して、この名前がつけられている。
特にフォレスト・ガンプにおいて、名前は重要なファクターのひとつだ。映画冒頭はフォレスト・ガンプという名前の由来から始まり、ダン中尉はその名前に誇りを持って生きている。フォレスト・ガンプ御用達の名前で卓球のラケットはヒットし、フォレストの名は息子に引き継がれた。
特筆したいのは、フォレストが中盤、自分のエビ漁船に刻んだ名前だ。
I’d never named a boat before, but there was only one I could think of, the most beautiful name in the wide world.
"the most beautiful name in the wide world"――世界で最も美しい名前。そう言って、彼は船に「ジェニー」と名付けた。このシーンはフォレストのひたすらに真っ直ぐな愛情が印象的で、だからこそ意味がある。
影河凌駕の話に戻ろう。凌駕の人生について、語られている部分はそう多くない。正式に公開されている情報の真偽の精査が出来ないので明言する自信もない。それでも確かに言えることは、開示されている彼の中で「ヒロ」という存在がほとんど中心を占めているということだ。智紘によってアイドルを志し、智紘の支えになろうと側を離れ、智紘の死の真相を究明するため、智紘との約束を果たすためにこれから先の人生全てを華人形プロジェクトになげうった。そして今は眞紘とともに、智紘の遺した願いである「アイドルとして共にステージに立つこと」を叶え続けるためにステージに立っている。智紘とは違う存在として、同じ呼び名でも全く違う「ヒロ」として、結城眞紘のことを大切に思っている。
前述した名前の話と考えると、凌駕にとってのジェニーは「ヒロ」に違いない。
ヒロの記載はどれに当たるだろうか。HEROかもしれないしHIRO(ハワイ語で撚り合わせるの意)かもしれないし、やはりヒロかもしれない。考察をぼんやりとする身からするとHEROであろうと考えるが、凌駕の心を思うとヒロであってほしい気持ちもある。
フォレストがジェニーを、オリバーがジェニーをまっすぐに愛し続けたように、クローバーを冠する凌駕にとっての幸せは、その不器用で真っ直ぐな愛を貫き通すことなのかもしれないと今のところは思っている。
前述でラブ・ストーリーの”Love means never having to say you're sorry.”を出した。「愛とは後悔しないこと」と訳されているが、解釈としては個人的に内田樹先生のブログ(2000/12/25)を参考にしたい。
「愛」というのはあとで「ごめん」と言わねばならないような仕儀に立ち入らないように、一瞬たりとも気を緩めないほどに張り詰めた対人関係のことである。(中略)
「愛する」というのは「相手の努力で私が快適になる」ような関係のことではなく、「私の努力によって相手が快適になる」ような人間関係のことなのである。
昔とは違って、彼が大切に思うのはヒロだけではなくなった。メンバー全員のことを大切に思って、Anthos*として手を取り合っていくことを彼は望んでいる。それでも「一緒にいる」と決めたのが他ならぬ「ヒロ」への誓いであることに変わりはない。
幸せであってほしいと願うこの人にこそ、幸せになってほしい。だからこそ自分の望んだ人と一緒にいてほしい。いられる未来であってほしい。
そう願ってしまうことを許してほしい。彼の幸せを祈っている。